2020.04.23

地方創生プロジェクト Cloud ON OKINAWA

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株式会社 KDDI ウェブコミュニケーションズは、幹事企業として全国の市町村と IT 企業が連携協定を結び、IT サービスを活用して地方創生を推進するプロジェクト「Cloud ON(クラウドオン)」を発足し、第一弾として、2017年4月18日に沖縄県内の課題を解決するプロジェクト「Cloud ON OKINAWA(クラウドオンオキナワ)」を発足しました。

地方創生プロジェクトCloud ON OKINAWAとは?

地方創生プロジェクトCloud ON OKINAWAとは、沖縄県の市町村と IT 企業が連携協定を結び、沖縄県内の課題をITを活用して解決する地方創生を推進するプロジェクト。

「中小事業者へのITサービス導入」「地域の課題解決」「地域の人材育成」の3つを柱に取り組みを2017年4月にスタートしました。

▲Cloud ON OKINAWAに参画した各市町、企業の代表が出席した記者発表
▲Cloud ON OKINAWAに参画した各市町、企業の代表が出席した記者発表

「中小事業者への ITサービス導入」では、ホームページ作成、ネットショップ作成、カード決済など、中小事業者がすぐ利活用できる IT サービスを用意し、販売促進や販路拡大、決済手段を増やすなど中小事業者の事業拡大を支援。「地域の課題解決」では、一次産業の IoT 化や移住テレワーカーへの仕事供給など、連携する市町村の抱える課題に取り組みます。「地域の人材育成」では、沖縄県の持続的な経済発展の中心となる人材を育成、若年層のプログラミング教育や次世代リーダーを育成するサービスを用意し、参画市町村と共に進めていきます。

▲Cloud ON OKINAWAのイメージ。普段ITに触れていなかった人の生活がITによって便利になることを目指しています
▲Cloud ON OKINAWAのイメージ。普段ITに触れていなかった人の生活がITによって便利になることを目指しています

▲Cloud ON OKINAWA紹介ムービー

2017年4月18日に那覇市で発足と同時に行った記者発表では、各市町の市長および副市長と各企業の責任者が登壇するということ、所得向上や人口減少は県内の大切な課題ということもあり、沖縄県内の注目度がかなり高く、県内のテレビ局、新聞各社、ウェブメディアなど関係者を合わせると約100名規模の記者発表となりました。

▲新聞、テレビ、ウェブメディアなど数多くメディアが出席
▲新聞、テレビ、ウェブメディアなど数多くメディアが出席

以下、実際に放送・掲載されたメディアです。沖縄県内でも大規模な記者発表でした。

■テレビ

NHK

OTV

QAB

RBC

宮古テレビ

 

■新聞

琉球新報

沖縄タイムス

日本経済新聞

八重山毎日新聞

八重山日報

宮古新報

宮古毎日新聞

宮古島経済新聞

離島経済新聞


今まで実施したプロジェクト

地方創生プロジェクトCloud ON OKINAWAをはじめて約3年。

今まで取り組んできたプロジェクトを紹介します。

糸満市 パッションフルーツ農家のIT活用

糸満市の拠点産地品目でもあるパッションフルーツ。市内には数十件のパッションフルーツが農家あります。その中の一つである「熱帯果樹園小池さん家」は、もともとパッションフルーツを中心とした農業で収入を得ていましたが、それだけでは収入が安定しないという課題がありました。

その課題を解決するため、「ネットショップで販路開拓」と「外見が悪いというだけで出荷できないパッションフルーツを使って加工品を作る」という2つの取り組みを行いました。

結果として、ネットショップ直販による収入の増加やネット経由での新規卸先の増加、さらに小池さん家の次男柾(まさき)さんがパティシエとしての経験を生かしパッションフルーツバター「海とパッション」の商品化・発売までたどり着くことができました。

▲熱帯果樹園小池さん家のネットショップ
▲熱帯果樹園小池さん家のネットショップ

 今後は、「海とパッション」の販売を促進し、原材料として糸満市の他の農家のパッションフルーツを買い取り、糸満市の農家全体の収益増加を目指していきます。

今回の取り組みに関してKDDIウェブコミュニケーションズでは、ウェブサイト・ネットッショプでの販売や商品化に当たってのブランディングなどをサポートしました。

糸満市 農作業支援通知IoT てるちゃん実証実験

沖縄県の小菊の出荷量は全国1位(*1)となっていて、糸満市では小菊へ人工的に光を当て花芽の形成と開花時期をコントロールする栽培方法「電照菊」の栽培が盛んに行われています。また、宮崎県や沖縄県宮古島市のイメージが強いマンゴーですが、糸満市でも拠点産地(*2)に認定されるなどマンゴーの生産も盛んです。

*1:政府統計の総合窓口(e-Stat) より 平成28年産生産小菊出荷統計:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003214440

*2:産地協議会を設置し、安定生産・安定出荷体制を確立するための具体的な取組方針を持つ自治体で、県が産地として認定した農林水産物の産地。なおかつ、沖縄県で選定された戦略品目の産地。

▲電照菊
▲電照菊

しかし、電照菊もマンゴーも出荷までにかかる作業量・時間が膨大なため、作業の効率化が課題となっています。そのため、照度・温度を電話及びSMSで通知する農作業支援通知IoT「てるちゃん」を開発しました。

とてもシンプルな仕組みで作られていて、ブレーカー落ちによる電照切れやビニールハウス内の気温変化をセンサーにより感知します。その後、設定値を超えるとクラウド電話APIサービスTwilio(トゥイリオ)により、生産者の携帯電話に電話・SMSで通知します。また気になるタイミングでシステム側に電話をかけることによりリアルタイムで照度・温度の値を知ることも可能です。

▲てるちゃんの仕組み
▲てるちゃんの仕組み

現在は糸満市だけでなく、沖縄県八重瀬町で紅芋の土壌水分量についてや、愛知県豊田市でも水田の水量についての実証実験を行っています。実証実験後は、小規模農家でも購入可能な低価格でのサービス提供を目指し、2020年中のサービス開始を目指し現在準備しています。

 

▶︎実証実験開始のプレスリリース:【農業×IoT】沖縄県糸満市にて実証実験開始 ブレーカー落ち・ビニールハウス内温度を電話でおしらせ

なぜ地方創生プロジェクトをやるのか

記者発表に多くの地元メディアが集まったように、地方創生は注目度が高く、インバウンドの対策と県民所得の向上は大きな課題です。沖縄では大型クルーズ船で何千万人単位の観光客が訪れるなど、インバウンドの影響で海外からの観光客が特に増えています。

しかし、増えていく観光客と観光収入の一方でIT化が遅れており、観光業以外の業種の所得は低い状態が続いているといわれています。

その沖縄のIT化の遅れを感じたのはこのプロジェクトを立ち上げた当社の代表取締役副社長でもある高畑哲平が実際に体験した出来事でした。

なぜITによる地方創生プロジェクトを立ち上げたのか、そのきっかけから地方創生を進めてみたからこそわかった内情、今後についても聞きました。

地方創生プロジェクトを立ち上げたきっかけ

ー なぜ沖縄で地方創生プロジェクトを立ち上げようと思ったのですか?

 高畑:那覇のデパートにある沖縄そば屋に行った時に、カードで支払おうとして払えないお客さんがいました。よくよく見てみたら中国人のお客さんで、お店の人も英語喋れないからノーカードノーカード、キャッシュキャッシュと言っていて、結局払えない状態だったのでお金を貸してあげたというのが最初のきっかけでした。特に海外の方は通貨を変換して持っていくっていうこと自体意識がないので、旅行するときは全部カードでいいやってなってきています。それなのに、沖縄のような観光主要産業な県で使えないのがおかしいというところからスタートしました。

▲株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ 代表取締役副社長 高畑哲平
▲株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ 代表取締役副社長 高畑哲平

ー クレジットカード決済を解決するだけなら「地方創生」でなくも良い気がするのですが、なぜ「地方創生」をしようと思ったのですか?

高畑:地方創生という言葉が当時政府が言い始めた時期だったので、地方創生という言葉を使ったほうが伝わりやすいだろうというのがその理由でした。しかし、地方創生という文脈で動けば動くほど、日本の大手企業に市役所で会うことが非常に増えていきました。ある市役所に行った時に、ある企業の地方創生の担当者がすごい分厚い資料で、数人がかりでプレゼンをしているのをみました。彼らの目的は地方創生に取り組むことではなく、地方創生の名目の予算を取ることだと感じたので、それらのひどい行為に反発する意味もあって地方創生という言葉を現在も使っています。

補助金に頼らない地方創生。補助金は沖縄のために使うべきお金

ー 地方創生プロジェクトを進めるに当たっての決まりごとはありますか?

高畑:県や市のお金を原則使わない。税金を取りにいかないということです。

地方創生だけにかかわらず、すべてのビジネスに関してなのですが、人の役に立つからお金をもらえるはずなのに、お金をもらうために動いているのが今の地方創生の実態だと思います。逆にいうとお金をもらえないんだったら動くなみたいな感覚も県外の会社にはすごくあります。それは間違いではないんですが、他人の領域に土足で踏み入れていく以上は役に立ってからじゃないとお金ってもらっちゃいけないはずなのに、どうしても金儲けのために足をつっこんでいる人が目に付くのが実態です。当社に関しては役に立てばいずれその対価は返ってくるというスタンスは崩したくないと思っています。

税金の大元がどこから流れてくるかはわからないですが、沖縄のために使うべきお金をうちが持っていってしまってはおかしいので。    

地方創生が進まない理由

ー 当初予定していたクレジットカード決済の導入などITサービスを普及させるという目的からは方向転換したように思うのですが、なぜでしょうか?

高畑:発表当初は参画企業の9つのサービスを普及させる、って本当にすごくピュアに思っていました。参画企業のサービスが普及すればするほど実際に世の中は便利になる。観光客など県外や海外の人はカードが使えるようになるし、ウェブサイトで様々な情報も入手できるし、帰宅後にネット経由で物も買える。かつfreeeなんかも入っていけば経営がもっとスムーズにいくと思っていたので、その導入こそが良いことだと思っていました。

▲参画市町と参画企業
▲参画市町と参画企業

実際にその想いは現在でも変わらないのですが、すごく単純な話で沖縄の人たちは現状を悪いと思っていない。これが地方創生という言葉でいうところの一番の障壁でした。現金社会で本人たちは成り立っているから、タクシーでクレジットカードがつかえなくても沖縄の人たちは困らないけど、県外からきた人が文句をいう。外から来た人たちが文句をいうから、こちらはそれをやった方がいいんじゃない?って親切ぶって言うんですけど、沖縄の人からするとなんで部外者がブーブーいうんだよ、ってなる。お前が現金持ってこいよ、と。

その土地のルールに合わせろよっていう至極当たり前な感情っていうのをあまり考えていなかった。だからそこが一番大きなギャップであり、摩擦でした。それも巨大な力であれば強制的に変わるかもしれないけど、自分たちの力でこれを一気に変えることは無理だなっていうのは最初の3ヶ月以内で実感しました。発表したけどもダメだとと気づくのが非常に早かったです。

▲農作業支援通知IoTてるちゃんの実証実験も補助金なしで行なっています
▲農作業支援通知IoTてるちゃんの実証実験も補助金なしで行なっています

一方で地方創生が進んだ分野も

ー パッションフルーツの6次産業化や農作業通知支援IoTの開発を進めていますが、進めている取り組みが農業分野が多いのはなぜでしょうか?

高畑:同じくらいのタイミングで、農家さんから熱いアプローチをもらうという予期せぬ出来事が起きました。さっきお伝えした沖縄の人がクレジットカードの必然性を感じていないのと反対に、農家は今のままじゃ食べていけないという危機感を持っていて、同じ考えの農家さんが数多くいらっしゃったので、一緒に進めていたら約2年経っていました。だから捉え方にもよるんでしょうけど、最初にやろうとしていたところから方向転換しましたが、それは結果論に過ぎなくて、当初想定していた飲食とか小売店ではなく、危機感を持った農家の方々が先にアプローチしてきてくれたので、このプロジェクトを進めたというのが実態です。

▲糸満市のパッションフルーツ農家さんとの初回ミーティング
▲糸満市のパッションフルーツ農家さんとの初回ミーティング

ー 農業系の取り組みは進みやすかったのみ比べ、他の地方創生の取り組みがなかなかうまくいかない理由はなんだと思いますか?

高畑:先ほど話した内容と少しかぶってしまうところがありますが、地方創生がうまくいかないのは、現状をまずいと思っていないからだと思っています。例えば自分の商売がうまくいかなかった時に、その原因が決済手段が少ないからとか、情報発信していないからだということに直結していない。自分が日々やっている商売が、10年20年とやってきていると緩やかな変化に気づくのはとても難しいことです。緩やかでもその変化に気づき、危機感を持たないことには絶対に変化に対して本気で向き合わない。

逆にいうとその気になった人は我々が手を差し伸べる必要はもはやこの時代にはなくて。だから外からお節介なことをやるのは本当に場違いだなって感じました。うまくいかない要因と、その要因を解決するためにはどのサービスとを使えば打開できるのかを見つけ出すのは、すごく難しい話なんだと思います。選択肢(サービス)があまりにも多すぎる。

緩やかな変化を実感せず、その変化への対処を必要だと認識していない。それが地方創生がうまくいかない理由だと考えています。

▲パティシエとしての経験を生かし、パッションフルーツの6次産業化に成功した熱帯果樹園小池さん家の次男柾(まさき)さん
▲パティシエとしての経験を生かし、パッションフルーツの6次産業化に成功した熱帯果樹園小池さん家の次男柾(まさき)さん

以前、熱帯果樹園小池さん家の柾(まさき)くんが取材を受けたRBCのインタビューで、「普段自分たちが毎日やっている仕事に対してどこがおかしいとか思わない」って言っていたんですが、その通りなんですよね。今まで農家が年収300万だったことが充分なのか、あるいは少ないと感じるのか。対比するものがないんです。

600万になるとも思ってないし、何をすればそうなるかなんて考えない。だから熱帯果樹園小池さん家がECを始めたことによって収入が倍になったりとか、6次産業化に成功したのはたまたまの奇跡にすぎなくて、普通の人はだいたいこの300万が永久に続くし、これが少ないと感じる瞬間がない。改善してよくなるとも思ってないし。やっぱり比較対象が一つもないんですよね。それはセミナーをするとか何かをすることで変わる単純な話ではなくて、気づいた人が自分で階段を上ろうとしているのを後ろから背中を押してあげるという行為に近くて、Cloud ON OKINAWAがやってることはほぼそれだなって思います。

▲6次産業化商品記者発表(左から、小池さん父、小池さん母、高畑、モデルの木寺莉菜さん、小池柾さん)
▲6次産業化商品記者発表(左から、小池さん父、小池さん母、高畑、モデルの木寺莉菜さん、小池柾さん)

今後のCloud ON OKINAWA

ー 今後のCloud ON OKINAWAはどうしていこうと考えていますか?

明確には考えてないです。本当に絵図がないんです。その理由は明確で、Cloud ON OKINAWAをスタートした時と3年後の今はまったく景色が違うので、どうしていきたいを持つ方がもったいないなって思っています。いい意味で向こう3年は予期せぬことがわくわく待っているはずです。目の前に現れた未来のドア1つずつ直感を信じて開いていきたいので、こうしたいというゴールを定めたくないんです。ましてや来年オリンピックがありますとかこれだけ変化が激しい時代に柔軟にスタンス変えていかないといけないので、より頭を固めたくない。それが一番大きいですかね。それぐらい最初の景色と今の景色は違いすぎるし、最初の方向性とは真逆を向いちゃっているので。現状このような方向性を進んでいるのも、たくさんの人との出会いによる連鎖の結果なので、今後のゴールは何も決めずに出会いの先を楽しみたいですし、扉が開いたとこには積極的に入っていくっていうスタンスは崩したくないですね。

▲農業支援通知IoTてるちゃん実証実験開始記者発表
▲農業支援通知IoTてるちゃん実証実験開始記者発表

そうでなければ、てるちゃん海とパッションと出会えなかったので。ただ、やめる可能性はすごくあります。Cloud ONという枠組みを今回てるちゃんっていうものが出てくることによって、部分的にですが今の地方を助けることができるツールとなるのであれば完全にてるちゃんに集中し、それ以外の取り組みを縮小する可能性はあります。でも、それはすごくポジティブに思っていて、意味あることにコミットし、形式上の行為はどんどん撤退することで、結果を最大化できると考えています。

今回は2017年4月に発足した地方創生プロジェクト「Cloud ON OKINAWA」についてご紹介しました。

今後の取り組みにについては未定ですが、プロジェクト内で出会った方々のサポートはこれからも続けてまいります。


この記事についてのお問い合わせ

株式会社 KDDI ウェブコミュニケーションズ

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広報担当 川上

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