2020.04.23

農家のIT活用による成功事例

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沖縄の市町村と IT 企業が連携協定を結び、IT サービスを活用して沖縄県内の課題を解決する地方創生プロジェクト「Cloud ON OKINAWA」の一環として、糸満市のパッションフルーツ農家「熱帯果樹園小池さん家」のIT化に取り組みました。ネットショプやSNSを活用することにより、翌年には売り上げが倍増する結果となりました。また、パッションフルーツを使った6次産業化商品「海とパッション」はテレビ東京の男子ごはんでも紹介されました。このページでは、農家がどのようにしてITを取り入れたのか、IT化に成功した理由など詳しい実施内容についてまとめました。

熱帯果樹園小池さん家とは?

熱帯果樹園小池さん家は、沖縄県糸満市でパッションフルーツやマンゴーなどを栽培している農家です。

2016年、2017年に沖縄県花と食のフェスティバルにて、パッションフルーツの部で2年連続金賞を受賞するなど、丁寧な栽培を心がけています。主にお父さんがマンゴー、お母さんはパッションフルーツを育てており、息子さんたちがお手伝いしながら家族農業を営んでいます。

▲小池さん一家。後列の一番左がお父さん、一番右が次男の柾(まさき)さん。前列の真ん中がお母さん。
▲小池さん一家。後列の一番左がお父さん、一番右が次男の柾(まさき)さん。前列の真ん中がお母さん。

元々は収穫した果物を一箇所に大量に卸すことで収入を得ていましたが、2017年9月頃からネットッショプでの販売とTwitterを始めました。スタートした当初はパッションフルーツだけの取り扱いでしたが、今ではマンゴーやキーツマンゴー、ライチなど他の果物も販売するようになり、リピーター用のページも作成するなどコンテンツも充実しています。

▲パッションフルーツバター「海とパッション」ハワイではリリコイバターと呼ばれています。
▲パッションフルーツバター「海とパッション」ハワイではリリコイバターと呼ばれています。

その後、息子の柾(まさき)さんがパッションフルーツの6次産業化に取り組みはじめ、見た目が悪いだけで廃棄になってしまうパッションフルーツを使ったパッションフルーツバター「海とパッション」を2019年3月に発売しました。

ゆくゆくは糸満市のパッションフルーツ農家から廃棄分を買い取り、糸満市のパッションフルーツ農家全体の収入の底上げをしていくことも視野にいれています。

IT導入で行った事と結果

熱帯果樹園小池さん家のIT導入を進めるきっかけになったのは、沖縄県の地方自治体とIT 関連企業が連携協定を結び、ITにより地域の課題解決をする地方創生プロジェクト「Cloud ON OKINAWA」でした。プロジェクトをスタートさせてからすぐに、参画市の一つである糸満市が小池さんと繋いでくれたことが始まりでした。

当時の小池さんは、卸先が一箇所だったため市場での価格に大きく影響され「時期によって収入が安定しない」、規格に合わないものは出荷できないため「約4割が廃棄になってしまう」などの課題があり、この状態が続くと生活していくことが難しいという話をもらい、当社でお手伝いをすることになりました。

▲小池さんを含めた糸満市のパッションフルーツ農家さんたちとの初回ミーティング
▲小池さんを含めた糸満市のパッションフルーツ農家さんたちとの初回ミーティング

ネットショップの開設とSNSの活用

そこで最初に行ったのが、ネットショップを持つことで今まで一つだった販路を増やすことでした。これにより、時期により変動する市場価格に影響されることなく、一定の価格で全国のお客様に商品を販売することができるようになりました。また、今まで規格外で廃棄にしなくてはならなかった商品も販売可能になりました。

ネットショップでは、大きく見た目がいいものを「贈答用」、今まで規格外だった見た目が少し悪いものは量を多くして「家庭用」に分け、お客様のニーズに合わせて販売することになりました。

しかし、ネットショップを作っただけではお客さんは来てくれません。情報拡散をするため、息子の柾さんが担当となりTwitterの活用も始めました。パッションフルーツのことだけではなく、どんな農家なのか知ってもらい安心して買ってもらえるように、農業以外の子供の成長や家族のことや沖縄での暮らしについてなど日常生活についてもこまめにツイートすることを心がけています。

▲農業以外の日常についてもこまめにツイート
▲農業以外の日常についてもこまめにツイート

Twitterでの情報発信がうまくいったことと、ネットショップでの販売がうまく噛み合い、スタートさせた翌年には売り上げが倍増し、果樹園を始めてから今までで最高の売上高となったそうです。

6次産業化商品発売

その後、ネットショップ開設から少し経ってから、6次産業化商品のパッションフルーツバター「海とパッション」の商品化にも取り組みはじめました。これはパティシエとしての経験がある柾さんが、見た目が悪く廃棄となってしまうパッションフルーツをうまく活用し、商品化できないかと考えたものです。お土産で配っても喜ばれる、沖縄の新しいおしゃれなお土産の定番となることを目指しています。

6次産業化商品を発売するにあたり、使用したITサービスはクラウドファンディングサービスウェブサイト・ネットショップ作成サービスです。当社では商品名を含めたブランディングやウェブサイトとネットショップの作成、クラウドファンディングの運用に関してのサポートなどを行いました。

▲パッションフルーツを加工し、海とパッションを作っている柾さん
▲パッションフルーツを加工し、海とパッションを作っている柾さん

クラウドファンディングサービスは、商品を生産・販売するにあたり加工場がないと販売許可が降りないため、加工場のリフォーム資金を集めるために使用しました。目標金額には達しませんでしたが、集まった資金は必要な機材、資材代、リフォーム代に充て、義父が所有している建物を知り合いの内装業者の指導の下、ほぼ自分の手でリフォームし、加工場を完成させました。 

▲資金集めに活用したクラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」
▲資金集めに活用したクラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」

ウェブサイト・ネットショップは、インターネット上で海とパッションを紹介・販売するために作成。

熱帯果樹園小池さん家のウェブサイト・ネットショップは、農家らしさを残しながらデザインしたのに対し、海とパッションは女性をターゲットとし、白を貴重としながら黄色とブルーをアクセントにした爽やかなデザインにしました。

▲ジンドゥーで作った海とパッションのウェブサイト
▲ジンドゥーで作った海とパッションのウェブサイト

2019年3月に発売し、現在ではオハコルテベーカリーや那覇空港、樂園百貨店などでも販売する人気商品となりました。また、その年の農林水産省が開催している、地域の農林水産物や食文化の魅力を活かした産品を発掘するコンテスト「フード・アクション・ニッポン アワード2019」では、応募総数約1,500産品の中から入賞100産品に選ばれ、2020年10月18日(日)に放送された男子ごはんでは「パンのお供」として紹介され、大好評でした。

成功した理由

なぜ小池さんは売り上げが倍増し、今までで一番の売上高となるほど成功したのでしょうか。ポイントは大きく「集客」と「決済方法」の2つです。

集客

ただ新しくネットショップを作っても勝手にお客様が来てくれるわけではありません。小池さん家もオープン当初は「集客」にとても苦労していました。多くのお客さんが熱帯果樹園小池さん家にくるようになった一番大きな理由は、Twitterをこまめにアップしたり、フォロワーとコミュニケーションを積極的に取りに行くなど、運用することがとても上手だったということもありますが、ある大きな出来事がきっかけでした。

▲実際にバズったツイート
▲実際にバズったツイート

いつも通りパッションフルーツや商品のことだけでなく、自分の生活のことなどをこまめにアップしていたのですが、ある日、庭に大量になっていたライチの販売についてツイートしてみたところ、本州では冷凍ではないライチが珍しいことやライチが女性に人気だったことなどが時流に乗り、ツイートが約4万いいね、2万リツートされ、一気にフォロワーが増加しました。

狙った訳ではなくたまたまだったのですが、ちょっとしたきっかけで熱帯果樹園小池さん家の知名度はグンと上がり、それ以降ライチはもちろん、ライチ以外の商品を発売した途端にすぐ売り切れるほどの人気になりました。

決済方法

もう一つのポイント「決済方法」は、インターネット上に購入先(ネットショップ)があり、クレジットカード決済ができる環境があったということです。Twitterをみてインターネット経由で買い物にきたのに、代引きや銀行振込しか決済方法がなかった場合、購入を考え直す人や諦めてしまう人も多いのではないでしょうか。クレジットカードは決済手数料がかかるため販売側の負担になりますが、なかった場合の機会損失を考えると必要不可欠な決済方法です。

▲熱帯果樹園小池さん家のネットショップ
▲熱帯果樹園小池さん家のネットショップ

紹介したこの2つが成功した大きな要因ですが、ネットショップがあるだけではここまで大きな成功には繋がりません。売り上げ増加までの期間が短く、倍増するほどまでになったことは、やはりTwitterでバズったことが一番大きな要因であることは間違いありません。

すべての人が成功することは難しい

きっと他の農家が同じようなことをしたとしても、同じように成功するのは難しいことだと思います。しかし、やってみないとわからないことも多くあります。実際、Twitterでバズってお客様が増えたことは、たまたま起きた出来事です。

▲海とパッション発売についての記者発表に登壇する柾さん
▲海とパッション発売についての記者発表に登壇する柾さん

何が起こるかわからない。でも何かしないと何も起こりません。もし、同じように何か起こったときのためにSNSを始めてみたり、ウェブサイトやネットショップを作ってみるのも、可能性を広げるきっかけになるかもしれません。

▲記者発表後の一枚。左から小池さんのお父さん、お母さん、当社代表取締役副社長高畑 哲平、司会をしてくれたタレントの木寺莉菜さん、柾さん
▲記者発表後の一枚。左から小池さんのお父さん、お母さん、当社代表取締役副社長高畑 哲平、司会をしてくれたタレントの木寺莉菜さん、柾さん

今はウェブサイトも簡単に誰でも無料で作れるようになっていますし、SNSの影響力は一個人がちょっとしたきっかけで有名人になったりすることもあるくらい計り知れません。

手間や時間はかかりますが、ぜひ興味がある方はITを取り入れてみるチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


この記事の問い合わせ先

株式会社 KDDI ウェブコミュニケーションズ

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広報担当 川上

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